LEVER

『より高みを求めて』

橋本さんへ初めてmailを送り3年の月日が流れいよいよその日を迎えます。『時が来た。』by 橋本真也

実際今、代表作でもあるpathを穿きながらこのブログを制作しているのですが、毎回このブーツを履くたびに気合が入るというか。今日の気分の洋服選びも楽しくスタートができてしまいます。そしてここまでのレベルの靴を求めた自分を褒めてあげたい。そして結果として未だかつて得てしてこなかった高揚感だったり満足感を実感しております。次のステージへ誘ってくれるような冒険心も含め。そんな心境です。彼が20年履き込んだブーツを見た時、私もその方向へ今履いてる靴を育てて行こうと決心できたのも記憶しております。あの景色に近づきたいと。一緒に60歳を迎えれたら良いなと。皆様にもデニムを育てる感覚でもう一度そのような楽しみを提供できたらと願いこの機会がようやくできました。

ビスポークシューメーカーJason Amesbury氏に師事。師の元で7年に渡る修行の日々を過ごしながら並行して、John Lobb St. James’s. Foster & Son. Gaziano & Girling. 等の数社でmakerとして活動。

2013年をもって師からのマスター認定を受け帰国するが、生涯の師と仰ぐ。現在も日本国内にてロンドンにあるBespoke boot maker数社の仕事を継続して行う。

日本人として誇らしいですよね。

2018年からは自身がトータルデザイナーを務め、職人としても携わる既成靴の製作プロジェクト、“LEVER” として活動がスタートします。

元来フルハンドでの靴作りに使用され継承されてきたウェルテッド製法。
現在の既成靴の市場では、そのウェルテッド製法を工業化したグッドイヤーウェルテッド製法が主流。これは殆どの工程を機械により簡略、効率化し量産を可能にしています。

LEVERは既成靴市場の中でもグッドイヤーではなく、フルハンド寄りの ”九分仕立て” を採用。
これはその名の通り、一分機械、九分手仕事。一部以外の全工程をハンドで行います。

細かい手仕事だからこそ生み出せる顔つきやディテール、故に香り立つ空気。
足への馴染みの良さ、歩行時の返りの良さも、人の手で縫い上げを行うからこそ。
手間をかける、其処には理由があります。

さぁ、早速少し紹介して行きましょう!

path

英国ビスポーク業界にのみ身を置いてきた自身のキャリアの中で、LEVERへと導いたモデル。 通称パドックブーツと呼んでいます。

師匠の元で修行を開始して間もなく、メイキングの練習用にと渡されたアッパーを使って仕上げた自身のブーツがルーツであり、そのデザインを踏襲、調整したものになります。

デザインのルーツは正直定かではありませんが、自身の分析によるこのデザインの面白みは、バルモラル(私達はガロシュと呼びます)という切り返しのあるブーツの場合、内羽根やボタンブーツなど、よりクラシックな雰囲気を出すスタイルになることが多い中、この靴はバルモラルのブーツであるにも関わらず外羽根であることやシャフトにシボ革を使うこと、なによりその外羽根がVフロントであること、これらがこのブーツの独特な雰囲気を作っていると思います。

上品さとミリタリー感が絶妙なバランスで融合されていると思います。

S MOLTON ‘99

このモデルは自身のルーツから生み出したものであり、唯一クラシックからは離れたものになっています。99年渡英して間もない頃、とある通りで出会ったブーツ、そのブーツとの出会いにより靴がどのように作られているのか意識を持つきっかけとなりました。その通りがSouth Molton St.です。

同じく99年渡英して間もなく、VHSで観たBuffalo ‘66。初めての鑑賞では全くわからなかった英語が、半年後完璧に聞き取れるようになっていたという思い入れと、そして何より印象的だった主演のギャロが履いていた真っ赤なブーツ。

両者共にジップブーツであり、そして特徴的なセンターの切り返しまで重なっていたこともあり、このブーツを2018年時点の自身のフィルターを通して生み出したブーツとなっています。

ジップの落とし位置、シャフトの細さなど、足入れにはコツがいりますが、足を入れたらバキバキになることを想定しています。


TIDE – BK & DB

PATH / S MOLTON ‘99というスタートであり亜流なモデル達に続き、新モデルのリリースにあたり自身の経歴と美意識に向き合う、しっかりとクラシックに向き合う、まさに一番嘘のつけないスタイル、それがこのキャップトウのオクスフォードとなります。

こちらに関してはとにかく教科書(バイブル)どおり、英国ビスポーククラシックに忠実なパターンバランス、しかしながらキャップのステッチは2本。これはあえて既製靴を主張してのこととなっています。


SCALE – BK / DB

デザインとしては、カジュアルリリースにあたり単にタッセルローファー気分であっただけです。木型はカジュアル専用にTHC101を開発、採用。

もちろんローファーはアメリカンですが、クラシックスタイルとして英国はもちろん、世界中で定着しているのはご存知かと思います。ちなみにこちらもご存知かもしれませんが、英国ビスポーク界ではカジュアルと呼んでいます。

一旦ここまで。まだ作品はありますよ。当日は全型持ってきてもらいます。残りは店頭での楽しみにしてもらえたらと思います。自分もまたもう一足どれにしようか迷う。欲しい。その時間がまた楽しいのです。

9月21日(土)と22日(日)の二日間は橋本さんが山口まで来てフィッティングしてくれます。

ぜひこの機会を楽しんで頂けたら!高みを求める方よ、お待ちしております!